今回から公正証書遺言編に入ります。題して「公正証書遺言で間違いなく進めよう①」。長らく自筆証書遺言(手書きの遺言)についてお話して参りましたが公正証書遺言に敵うものはありません!法律家としてはやはりこちらをおススメしたい次第です。ご自身が亡くなられた後、家族が“争族”になることなく円満なきちんとした相続手続きがなされるよう望むのなら、どうぞ真剣に本編を読みぜひ取り組んでみてください。

公証役場の公証人

県庁所在地など少し大きめの都市にはだいたい「公証役場」というところがあります。一生に一度も行かない方も多いかもしれませんね。かくいう私も行政書士になる前は行ったことがありませんでしたし、その意義も存在さえも知りませんでした(苦笑)。ですから行政書士事務所を開業した時、遺言業務も考えていたため真っ先に赤羽公証役場にご挨拶に行きました。駆け出しの頃は顧客から依頼を受け公証役場に繋ぐ際、必要資料収集が欠けていたり、役場の主から難点を突っ込まれてうまく説明できなかったり、苦労したことがとても懐かしいです。役場の主は「公証人」という偉い法律家の先生です。大多数が元裁判官・元検事さん、すなわち司法試験を突破した法律家の最高位の方たちです。彼らは法務局かを委嘱を受けて派遣され、各公証役場で書記さんを雇うなどして運営されています。任官してから10年、または70歳定年退職ということになっています。私は事務所(東京都北区赤羽)から自転車で行けるため、公正証書遺言案件が発生するたびに赤羽公証役場にしょっちゅうお邪魔していますが、ここはお一人の公証人さんのみ。北区には他に王子公証役場がありますがこちらはお二人、日本橋公証役場だと五人・・・とまちまちです。

公証役場の公正証書

彼らはその名が示すとおり様々な法的文書を「公証」します。それは私人間の契約書であったり、別れたいご夫婦の離婚協議書であったり様々です。それらを公的に証明することで、例えば賃貸借契約公正証書や離婚協議書公正証書に変身するのです。単に名前が変わるだけではありませんよ。離婚協議書であれば大抵は夫が、別れて子供を引き取った妻に養育費を払いますが、支払いが滞ったりした場合に備えて強制執行認諾文書という一文を加えます。つまり妻がわざわざ「養育費を支払って欲しい」という裁判を起こさずとも、当該公正証書をもって強制執行(財産の仮押え)を図れるのです。このように公正証書には強い法的パワーがあります。

遺言公正証書

遺言も一つの法的文書であり、遺言者から相続人や受遺者(相続人以外で財産をもらえる人)への一方的意思表示ですが、これを公正証書にできるのです。公正証書化することで高い信頼性を発揮しますし、自筆証書遺言で必須要件とされた「死後の検認申請」を省略できるなど強いパワーがあります。
但し自筆遺言書を公証役場に持ち込んで、「俺が手書きで作ったこの自筆証書遺言を、そのまま公証(認証)してくれよ」と言ってもそれは通りません。民法で定められたルールや作り方がありますので、それはこれから丁寧に説明していきましょう。

次回は「公正証書遺言で間違いなく進めよう②」についてお話しします。

この記事の筆者

冨田 賢

行政書士 昭和48年生、東京都北区出身、法政大学法学部法律学科卒。
平成18年まで川口市役所に奉職後、21年に地元の北区にて「行政書士冨田賢事務所」を独立開業。相続・遺言・遺産分割・成年後見など終活をメイン業務とする。日常業務の傍ら、北区・川口市・蕨市の公共施設はもとより、地域包括支援センター、シルバー人材センター、生活協同組合、介護付有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、大手住宅販売会社、大手出版社、各町会・老人会からも講師として招聘され好評を博し、講義実績は300時間超に達する。日本行政書士会連合会会員、東京都行政書士会会員、FP2級。川口市勤労福祉サービスセンター評議員
■『よくわかる!チャート式 葬儀・相続の基本』監修 2015年 ㈱宝島社
■『もう困らない!老後のお金』共著 2016年 ㈱宝島社
行政書士冨田賢事務所 〒115-0045 北区赤羽2 丁目31 番3 号 101号室 JR赤羽駅東口・東京メトロ南北線赤羽岩淵駅徒歩6分 電話03-3901-2153 FAX 03-3901-2154 info@gyousei-tomita.com