シニアホームなび が独自に開発した「(仮称)親カルテβ版」。9月にご紹介して以来、多くの方からご依頼をいだだき、親御さんのことを記録するツールとしてご利用いただいております。
「親カルテ」は、いざという時のために、「ご家族が」「親御さんのことを」記録しておくツールです。親御さんが元気なうちから記録しておくのがベターですが、どんな状況からスタートしても構いません。
ではあらためて、親カルテは何のために、どう活用するのかをご説明していきます。

何のために書くのか

高齢者は、脳卒中や骨折など、大きな事故や発症を契機に、家族が病院に同行しサポートする機会が多くなります。家族が必ず、医師や介護施設に何度も聞かれるのは、入院した経緯、検査の結果、状態の変化、飲んでいる薬・・・。1日に同じことを様々な関係者に話さなくてはならなくて疲れ果てる、という場合もあります。そんなとき、こうした情報を記録して、必要に応じてコピーを渡せるものがあったら便利です。

このほか、お薬手帳の内容を貼り付けたり、検査結果を貼っておいたり、本人の自覚症状の訴えなどを記録しておきます。さらに、親の生活パターンや趣味嗜好も書いておけば、いざ老人ホームに入居しても、介護士と情報共有して、親にとっても希望の生活を実現しやすくなります。

つまり、“親カルテ”は、親の身体と生活にかかわる情報を整理しておくことで、他者に説明する負担を軽減し、医療・介護従事者と納得のいくコミュニケーションに集中できるツールです。そして、介護が始まる前から作り始めれば、いざという時に慌てずに対処する準備にもなります。

親カルテを作るときのポイント

ポイント1:書けるところから書く。状態把握は変化を感じたら加筆していきます

親カルテは最初からすべて埋める必要はありません。お薬手帳があるのなら薬のことは書かなくても良いでしょう。今の時点では書きにくい、よくわかっていないことは、飛ばしても構わないのです。


ポイント2:自分の心情は書かず、客観的な観察事実を記録します

親カルテの最大の特徴は、親御さんの状態を様々なシーン「見る」「聞く」・・・など、15項目が挙げてあり、それぞれに記載例が書かれています。それに沿って、事実を客観的に、個人的な感情を抜いて書くことで、介護で最も必要な観察力を養い、落ち着いて判断ができるようになります。また、1回きりでなく、折に触れて記入していけるようになっています。

ポイント3:「本人が何を望んでいるか」「家族はどうしたいか」を明らかにするよう心がけます

本人の「老後の生き方の希望」を書く欄があります。希望はそのときどきで変化する可能性がありますが、大切なのは、親御さんとご家族がそういうテーマで話し合ったかどうか、という点なのです。親カルテでは、「ご家族が同じ情報を共有する」ことが重要と考えています。まずは「同じ情報」であることが大事で、必ずしも「同じ意見」でなくてもよいのです。いざというとき、施設に入居したり、看取りの判断をしなければならないとき、関係するご家族がふだんから情報共有ができていないと非常に苦労されることになる、と私共は日々のご相談事例の中で感じているからです。

【活用事例】親カルテを「親御さんが」書いたケース

親カルテは上記のように「ご家族が親御さんのために」書くことを前提として作っていますが、すでにご利用された方からは、親御さんと一緒に見て、親御さん自らが記入したというお話を伺いました。

娘さん『こんなものがあるのよ、と見せたら、どれどれ、といって自分で書いてくれました。かなりの項目を埋めていました。楽しみながら書いていたようです。自分のことを子供に知ってほしい、と思っているみたいでした。私自身も、親のことで初めて知ったことがあって驚きました。』

このような事例では、親御さんは、書きながらご自分のことをあらためて考えたと思いますし、娘さんは親御さんの別の側面を垣間見たかもしれません。
娘さんは『あらためて、ずっと元気でいてほしいと思いました』とおっしゃっていました。

親カルテをきっかけに、普段話さないような会話もしやすくなるとよいですね。

自分で書くものとしては、世の中にはエンディングノートというのがあります。しかし、親カルテがエンディングノートと違う点は、現在の身体の状態を客観的に見る、というところです。これは本人でも可能です。親御さんが自分で書くのであれば、それをきっかけに「そろそろ、住み替えを考えなくては」と考え始めるかもしれません。あるいは、「まだまだ大丈夫」と自信がつくかもしれません。

「親カルテ」では、これが良い、悪い、の判断を下すものではありません。迷っている人も、実際には「答えをご自分が持っている」ケースが多いのです。家族にとって最良の選択はわかっていても決断できない理由はいろいろです。親カルテはそんなとき、ほかの誰でもない、「あなた自身」が記録することによって、いざというときの「あなた」をサポートするためのツールなのです。

--「(仮称)親カルテ β版」は、期間限定で3月までご希望の方に無料で差し上げております。部数に限りがございますので、お問い合わせは下記リンクより。
親カルテをご請求の方は、その後のバージョンアップや補足情報をお送りします。
(ご家族のためのツールのため、目的以外のご使用の方はご遠慮ください。)

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この記事の筆者

荻野 百合子

株式会社LIXIL住生活ソリューション シニア事業部 課長
ホームヘルパー2級、福祉住環境コーディネーター2級
早稲田大学卒業。
1986~2008 株式会社三菱総合研究所 勤務。 専門研究員として雇用労働・産業構造を専門に、ワークライフバランス、女性の就業等について官公庁調査業務を担当。厚生労働省 職業安定局の労働力需給推計業務を担当、独立行政法人 労働政策研修・研究機構の「労働力需給推計委員会」委員(2008~2015年まで)
2008~2013 医療系IT企業にて医療関連リサーチ業務、介護職員・看護師の満足度調査、介護施設のコンサルティングを担当。
2013~ 株式会社LIXIL シニアライフカンパニー入社。介護付き有料老人ホームフェリオ多摩川ホーム長就任、2014年より本部企画業務に従事
2016.4~ 株式会社LIXIL住生活ソリューションに出向 シニアホームなび 担当