Part2では、銀木犀での「楽しい暮らし」をご紹介します。
----先日、お祭りを拝見しましたが、盆踊りや太鼓もあってとても楽しい雰囲気が伝わってきました。ご家族や近所の方もお手伝いされていたのでしょうか。

所長 松丸氏『近所の子供や職員の友達も手伝ってくれました。ご家族が地元のお米を売ったり、ご入居者が手作りの盆栽を売ったりもしました。入居者が作ったものはちゃんと自分たちに還元されます。近所の方も、お祭りは少なくなっているので、楽しんでいただいていると思います。自治会の方とか、口コミで集まって来てくれるから、すごく助かります。駄菓子屋さんもそうです。』

楽しい、やりたいと思うことをやってみる

---駄菓子屋さん、外にありましたね。その隣には居酒屋もありますね。駄菓子屋さんは、「遊びに来たお孫さんが帰りたがらない」と聞きました。私自身も駄菓子を見て思わず買ってしまいました。

『子供たちが毎日来るんですよ。10円玉握って。駄菓子屋さんの店長をやっているご入居者も、介護度4だったのが、今や要支援1です。うつ状態だったのに、今は全くないのです。毎日が楽しくてしょうがないって』

『居酒屋も中でやっていますが、外に広げていきたい。保健所に届けないといけないのですが。そこでの商品を、入居者の方が作るということもいいなと思っています』

----ご家族とは、どのようなかたちで日々お話をされているのですか。

『銀木犀の場合は家族の来訪は多いので、基本、タイムリーです。電話でも連絡をさせていただいたり、お越しいただいたときに話をする。サービス提供責任者もケアマネも同様です。職員全員ですね。そういうかかわりをもっていかないと、ご家族の方も不安になっていきますから。密なコミュニケーションが大事になってきます。』

夢を語り合う、家族会

----こちらでも、ご家族との全体会議のようなものはやっておられますか。

『家族会は年1回やっています。西新井大師の銀木犀では、足立区で有名な和菓子屋さんに来てもらって、和菓子とお茶を飲みながら、というスタイルでした。入居者、職員、家族様でグループに分かれて、こんな出来事があった、こんな生活がしてみたい、という話をする。家族会は、銀木犀に入ってこんなことが良かった、これから先こんなことをやっていきたい、という夢を語る場にしたいのです。グループワークですから考えたことを付箋に書いてべたべた貼って、ディスカッションをします』

----グループの会話を仕切るのは難しそうですが。

『職員が各テーブルに入って、イニシャチブをとってディスカッションを仕切れるような、ファシリテーター研修もやっています』

寛太さんの椅子

----こちらの椅子は、とても座り心地が良くて、木の質感が温かく感じられますが、どちらで購入されているのでしょうか。

『寛太さんの椅子、と言います。和歌山の、のどかなところに住んで、そこで一脚一脚手作りで作っているものを使っています。銀木犀では全部の住宅でその椅子を使っています。なぜかと言うと、職人さんの心がこもった手作りの、ぬくもりのある椅子に座って、入居者の方を見守ってほしい、という思いがあるのです。』

----職員の方への願いなのですね。

『職人さんが真心こめて作っている椅子に、そういう椅子だということをちゃんと理解しながら、1分でもいいから入居者の人と会話をしてほしいという思いを理解して座ってほしいんです。そんなところにも、ひとつひとつ思いがこもっている椅子なのです。』

<取材を終えて>
訪れるだけで、温かく、穏やかな気持ちになれる「銀木犀」。
よく、「素晴らしい取り組み」という言葉で、高齢者住宅を紹介することがあります。しかし、今回の取材では、「取り組み」と言ってしまうと、うまく伝わらない気がしました。それはきっと、銀木犀では、運営側の押しつけでなく、ご入居されている方々が本当にやりたいと思うことを実現しているのであって、むしろ、ありがちな「運営する側の都合によるルール」を、思い切って取り払うことこそに「取り組んで」きておられるからかもしれません。

この記事の筆者

荻野 百合子

シニアホームなび 運営事務局