過去5回にわたってカール友波さんに生前整理・老前整理のポイントを教えていただきました。いかがでしたか? 片づけのキホンと考え方、それこそ頭の中もすっきり整理できましたね!

では、今回は番外編として、両親が介護付き有料老人ホームに入居したり、自分自身が運営に携わった筆者の経験から、「終の棲家(老人ホーム)に持ってきていただくもの」の一例をお話ししたいと思います。

老人ホームは、それまでの住まいと大きく違うのは「プライベートな空間の面積が狭い」ことです。実際はリビングやキッチン、お風呂などは共用部分にあるので、それもあなたの家の一部です。でも、個室は、狭い場合は13㎡~20㎡ぐらい、自立型では25㎡前後もあります。ご夫婦向けには45㎡くらいが主流です。狭い部屋は介護度の高い方向けなので、基本的にはトイレと洗面のみとなります。
ベッドを置いたとしたら、かなり場所を取ってしまいますね(介護付き有料老人ホーム、および一部のサービス付き高齢者向け住宅は、施設で介護ベッドを用意しています)。

それでは、最低限必要なものを書き出してみましょう。

基本は「これまでの家での暮らしの雰囲気と安全」

基本は「これまでの家での暮らしと変わらないように、でももっと安全に」。お気に入りの家具は、サイズがなんとかなれば、それを使いましょう。
〇衣類を入れる整理タンス
〇お茶を飲んだり手芸・書き物をしたりするテーブルと椅子
〇大きな衣類、その他のものを入れるクローゼット(備え付けの場合も)
〇仏壇や電話、その他の小物を載せる台
〇テレビとテレビ台(必要な方)
こんなところでしょうか。小さな仏壇を持っていらっしゃる方もいますが、火気は禁止のところが多いので、よくある電気式の灯明をお勧めしています。

テーブルは安定の良いものを。手をついて体重をかけることがあることを想定しましょう。整理タンスやその他の家具は、腰の位置くらいの高さのものだと、つかまって歩くことがやりやすくなります。古いタンスでもよいのですが、買い替える場合は、レール付きで、指一本でも引き出しが軽く動くようなものが良いと思います。昔の方は古いタンスを大事に持っていますが、手の力が衰えてくると、引き出すのが一苦労で、結局廃棄された方もいました。

設置のポイント、生活を楽しめる工夫

テレビが好きな方は自分用に部屋に置くと思いますが(共用部分にもTVはありますが)、倒れてこないような対策をしましょう。最近の薄型テレビは、むしろ倒れやすいです。
絵や写真を飾るスペースや額はぜひとも欲しいです。大きな額絵であれば、壁の上方にレールを取り付けて、ワイヤーで吊るすタイプは簡単に架け替えることができるし、地震でも落ちにくいです。

目の高さぐらいに、コルクボードがあると便利ですね。お孫さんの写真、リハビリやイベントスケジュールなどを貼っておくことができます。

ポイントは、ベッド回りのスペースを十分にとること。車椅子が回転できるような広さが必要です。どちらかに麻痺があればおのずと決まってきますが、基本的にはベッドから降りる方向は自宅と同じであるようにします。
敷物類は、つまづく危険性がありますので、施設の方とも十分相談してください。

ご家族としては、もし自分が入居したら・・と考えて、いちどベッドに横になってみるとよいかも。そこから見える部屋の風景を感じ取って、家具や小物を配置してください。

もし自由にカーテンを変えることができるのであれば、思い切って、気持ちが明るくなるような好みのものにつけ替えてみるのもよいですね。カーテンだけでずいぶんと違うものです。(老人ホームは防炎のカーテンを義務付けられていますので、ご注意を。)

そうそう、貴重品。現金は気を付けましょう。ご本人の状態にもよりますが、小さな手提げ金庫を購入されてもよいかも。鍵のかかる引き出しのある家具でもよいですが、いずれにせよ、あまり高価なものは置かないようにしましょう。
高価というわけではないけれど、その人にとって大切なものをいつも入れておくところはどんなところか、これもポイントです。タンスの引き出しの奥なのか、仏壇の引き出しなのか、その人自身の癖を把握しておきましょう。

お片付けのキホンで、早めの整理を。

さて・・・こうして考えてみると、自宅にあるものをすべて持ち込むことはできません。施設によっては別途トランクルームのような置き場所を有償または無償で貸してくれる場合もありますが、そういう施設の方が少ないです。

と、考えると、カール友波さんのお片付けシリーズを読んでぜひ早めの整理を!

この記事の筆者

荻野 百合子

株式会社LIXIL住生活ソリューション シニア事業部 課長
ホームヘルパー2級、福祉住環境コーディネーター2級
早稲田大学卒業。
1986~2008 株式会社三菱総合研究所 勤務。 専門研究員として雇用労働・産業構造を専門に、ワークライフバランス、女性の就業等について官公庁調査業務を担当。厚生労働省 職業安定局の労働力需給推計業務を担当、独立行政法人 労働政策研修・研究機構の「労働力需給推計委員会」委員(2008~2015年まで)
2008~2013 医療系IT企業にて医療関連リサーチ業務、介護職員・看護師の満足度調査、介護施設のコンサルティングを担当。
2013~ 株式会社LIXIL シニアライフカンパニー入社。介護付き有料老人ホームフェリオ多摩川ホーム長就任、2014年より本部企画業務に従事
2016.4~ 株式会社LIXIL住生活ソリューションに出向 シニアホームなび 担当