2000年に介護保険法が施行され、介護は措置から契約(介護サービス)へ変わり、お客様が自由に選択できるようになりました。
そしてさまざまな民間企業が介護の業界へ参入してきました。
しかし、介護保険制度は3・5年周期で報酬・制度の見直しがあり、そのたびに新しい価格、新しいサービスが追加され、介護業界で働く人でさえも正しく理解している人は多くないのが現状です。ここでは老人ホームを運営してきた経験からお客様から誤解が多かった項目について出来るだけわかりやすく解説して行きたいと思います。

「有料老人ホームは高い」は本当か?

今回は、有料老人ホームの費用に関する誤解について解説したいと思います。

みなさんは、高齢者向けの施設・住まいの中で、有料老人ホームは、費用が高いと思っていませんか?

13年の入居相談の中でも有料(有料老人ホーム)は高いというイメージをお持ちの方が多くいらっしゃいました。
高齢者向けの施設や住まいの費用について調べてみるとインターネットのサイト、書籍などで下図のような価格と介護度のマトリックス図を見かけます。(主な高齢者施設・住まいで示しています。)
このような図のイメージがじわじわと広がり、一般的に費用が安価な順で
特別養護老人ホーム→サービス付き高齢者向け住宅→(住宅型・介護付き)有料老人ホームと考えている人が多くなっていると考えられます。
では、実際はどうなのか?この3つの類型について、費用を見ていきましょう。

主な高齢者施設・住まいの費用内訳と内容

費用名称の構成は、下表にまとめています。
並べてみると、特別養護老人ホームには管理費がないように見えますが実は介護サービス費用の中に含まれています。
(特別養護老人ホームに対しては介護付き有料老人ホームと比較すると数多くの介護報酬の加算があります)
そして記載されていなくても、食事は必ずかかる費用ですし、介護サービスも自立した生活が困難になれば必要になり
そのサービスに応じて費用が発生します。(逆に介護サービスが必要なければ介護付き有料老人ホームの介護サービス費はかかりません。)
そして、各内訳の使途は大きくは異なりませんので本来は費用差が大きく出ません。
具体的な費用に置き換えると
特別養護老人ホーム 月額8万円~
介護付き有料老人ホーム 月額12万円~
住宅型有料老人ホーム 月額12万円~(別途、介護護サービス費)
サービス付き高齢者向け住宅 月額 月額10万円~(別途、食費、介護サービス費)
※食費の目安月額5万円、介護サービス費は1~6万円(介護度及び自己負担比率により変動)
介護サービスや食費を含めると介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅では費用差がないことがわかります。
(特別養護老人ホームはその3つと比較すると確かに安価な設定となっていますが、その分多くの税金が投入されて成り立っています)

ではなぜ、有料老人ホームが高いと思われているのか?

前述の通り有料老人ホームは特別高額というわけではありません。
ではどうして、そういうイメージがついたのでしょうか?
一つ目には、名称があると思います。
公的な施設の特別養護老人ホームに対して、あえて「有料」という名称がつかわれていること。
二つ目には、前払い金という仕組みがあると思います。
前払い金(入居一時金)という名称で想定居住期間の家賃相当額を入居時に一括で支払う仕組みが通例で、その金額が数百~数千万円となるため、その価格が独り歩きしたこと。(仮に家賃月額が10万円だとしても10年分前払いすれば1200万円になる)
※現在は、月額プランを導入しているところが大半です。
三つ目は、実際に高いホームがある。
民間中心である有料老人ホームは、お客様から選んでいただくために自社の特長・同業との差異化を出す(作る)ということです。
例えば、食事の選択性、手厚い人員配置、24時間看護師常駐、広い居室、充実した設備などなど。これらは費用の掛かる事ですのでお客様の費用に上乗せすることになります。

このような理由で高いイメージがついている有料老人ホームですが、民間主導でやっている以上、必ずマーケットを見て事業を設計します。
月額が年金受給額前後のホームが主流です。高齢者施設・住まいを選ぶ際は偏見を持たず、費用に何が含まれているかを確認して選択されることをお勧めします。

参考文献

老人福祉法
介護サービス施設・事業所調査(厚生労働省)
費用、シニアホームなび調べ

この記事の筆者

蜂須賀 尊之

株式会社LIXIL住生活ソリューション シニア事業責任者

1966年 兵庫県生まれ

1989年 トーヨーサッシ株式会社入社
2003年 介護付マンション事業の企画担当となる
2006年 住生活グループ(現LIXILグループ)初の高齢者住宅・介護事業会社となる
「株式会社住生活グループシニアライフ」 立ち上げメンバー
人事・経理・マーケティングの責任者として、会社の基礎を創り上げる
2010年 レジアス百道支配人、福岡3拠点統括責任者
介護現場に改善手法(QC活動)を導入・サービス品質の見える化を促進
2013年 拠点を超えた人事交流を推進
2014年 LIXIL高齢者の住生活相談センター/LIXILの居宅介護支援事業所 介護計画百道 開設
2015年 東京・福岡全7拠点統括責任者
2016年 株式会社LIXIL住生活ソリューション着任 シニアホームなび開設