2000年に介護保険法が施行され、介護は措置から契約(介護サービス)へ変わり、お客様が自由に選択できるようになりました。
そしてさまざまな民間企業が介護の業界へ参入してきました。
しかし、介護保険制度は3・5年周期で報酬・制度の見直しがあり、そのたびに新しい価格、新しいサービスが追加され、介護業界で働く人でさえも正しく理解している人は多くないのが現状です。ここでは老人ホームを運営してきた経験からお客様から誤解が多かった項目について出来るだけわかりやすく解説して行きたいと思います。

介護付有料老人ホームの人員配置

人員配置は、老人ホームの場合、職種ごとに規定されています。中でもお客様にもっとも関係するところが介護・看護職員の配置です。
直接処遇職員とも言い、ご入居者に直接的に介護サービス・看護サービスなどを提供する職員のことです。
この職員配置については、働いている職員もご入居者とそのご家族も誤解しているケースがあります。

職員配置の表示方法は、一般的に以下の通りです。

「要介護者3名に対して介護・看護職員1名の配置」 「入居者3名に対してスタッフ1名の配置」

この表示を受け、ご家族の方に良く言われました。
「今、母にあってきましたけど、フロアにスタッフが全然いませんでした。3人に1人って本当ですか?」
また、スタッフ面談時にも言われます。
「3対1の配置って聞いてたのに夜勤は1人で21人も対応しなければいけない、配置はあっていますか?」

さて、みなさんは表示とご家族やスタッフの言い分を聞いてどう思われますか?
ご家族やスタッフの言い分は正しいと思った方もおられるのではないでしょうか?

わかりにくい配置基準の仕組み

介護保険法には以下のように介護・看護職員の配置が規定されています。

(従業者の員数)
第百七十五条 二
イ 看護職員及び介護職員の合計数は、常勤換算方法で、要介護者である利用者の数が三又はその端数を増すごとに一以上であること。

要約すると、要介護者と看護・介護職員の合計数の割合は、3:1以上であること。例えば、要介護者が4名であれば、看護・介護職員の合計数は1.34名以上ということになります。
しかしここでキーとなる言葉があります、「常勤換算方法で」という言葉です。

常勤換算方法とは、常勤社員を1とした場合に常勤者何名分にあたるかを算出する方法で、常勤社員とは、事業所で定められている常勤の所定労働時間(1週間で最大40時間)の勤務をしている職員をいいます。

同じ○名と表記しているものの、入居者は住み続ける(24時間365日)3名、職員は所定労働時間勤務する1名と中身が異なります。
1週間と1日で比較した数字が以下の通りです。
・1週間:入居者が24時間×7日=168時間=1名、スタッフ=40時間(法律の上限値)=1名
・1日:入居者=24時間=1名、スタッフ=5.7時間=1名

前述の3名に対して1名の配置を正確な言葉で言うと、24時間365日居住される入居者3名に対して1日あたり5.7時間労働する職員1名の配置ということになります。
どうですか?誤解は解けましたか?

介護付有料老人ホームの人員配置の実例

数字上での説明が続きましたので、上述をもとにシフトのイメージ図を作成しました。
横軸が時間、縦が個別スタッフです。各時間帯のスタッフ数を下段に入力しています。
多い時間帯で3名いますが、ご入居者は21名ですので入浴・排泄など個別のケア対応をしていればフロアにスタッフが1名しかいないということは十分にあることなんです。
1日を平均でみると、入居者13人に対してスタッフ1人となります。

結論、人員配置の要介護者3名に対して看護・介護スタッフ1名とは・・・
入居者の目線から言えば、要介護者約13名に対して看護・介護スタッフ1名程度の配置となります。
※要介護者とスタッフは同じ基準での人数ではないのです。

参考文献

介護保険法

この記事の筆者

蜂須賀 尊之

株式会社LIXIL住生活ソリューション シニア事業責任者

1966年 兵庫県生まれ

1989年 トーヨーサッシ株式会社入社
2003年 介護付マンション事業企画担当となる
2006年 住生活グループ(現LIXILグループ)の高齢者住宅・介護事業会社となる
「株式会社住生活グループシニアライフ」 創設メンバー
人事・経理・マーケティングの責任者として、人事制度・社内規程など会社の基礎を創り上げる
2010年 レジアス百道支配人、福岡3拠点統括責任者
介護の現場にQC活動を導入・サービス品質の見える化を促進
2013年 拠点を超えた人事交流を推進
2014年 LIXIL高齢者の住生活相談センター 西新店 開設
LIXILの居宅介護支援事業所 介護計画百道 開設
2015年 東京・福岡全7拠点統括責任者
2016年 株式会社LIXIL住生活ソリューション着任 シニアホームなび開設